300年の歴史

History

江戸時代から続く歴史を、日本史を交えてご紹介します。

大阪書林御文庫講 の歴史

日本の歴史

はじまり

大坂、京都、江戸の書肆により住吉大社御文庫建立の発願を行う。その後、大坂本屋仲間の有志が「住吉大社御文庫講」を結成し、書籍の奉納と蔵書の整理保管に当たる。

1723 享保8年

江戸幕府による
享保の改革

1716年から1745年にかけて行われた江戸幕府の財政立て直しを目的とした政治改革。
主な内容としては、武士の倹約を促し、新田開拓を進め、上米の制などを導入しました。

新たな講が結成

天満宮に「天満宮御文庫講」が結成され、同じく書籍の奉納、蔵書の整理保管が始まる。

1730 享保15年

改革と実学の興隆

享保の改革によって社会の安定と民政の充実が図られました。寺子屋教育が広まり、実用書などの出版を通じて庶民の教養も深まりました。

『御文庫書籍目録』

2冊が作成される(住吉大社)

1753 宝暦3年

町人文化の成熟

江戸を中心に町人文化が成熟し、浮世絵や黄表紙など娯楽書が盛んに出版されました。庶民の娯楽や遊びが日常生活に根付いていきました。

『御文庫書籍目録』

4冊が作成される(住吉大社)

1777 安永6年

国学と蘭学の進展

浮世絵や俳諧がより洗練され、国学・蘭学も進展しました。伝統文化が深まりつつ、海外の知識への関心も徐々に高まっていきました。

『御文庫書籍目録』

5冊が作成される(住吉大社)

1825 文政8年

出版文化の発展

出版技術の発達により読み物の種類が増え、庶民の読書機会が広がりました。物語性の高い娯楽作品が庶民の間で流行し、出版文化がさらに発展しました。

大塩平八郎の乱

大塩平八郎の乱で大阪天満宮御文庫の書籍の多くが焼失

1837 天保8年

幕府の権威の衰え

大塩の乱ののち、幕府は天保の改革で倹約や上知令などによって立て直しを図りましたが、民衆や大名の反発で失敗し、幕府の権威はいっそう衰えました。

天神祭船渡御

書林講という名称で初めて天神祭船渡御に参加

1861 万延2年

幕末の文化

幕末の混乱期でも浮世絵や風刺的な読み物が庶民に親しまれました。蘭学をはじめとした洋学や技術への関心も広がりました。

再建

大阪天満宮御文庫が徐々に再建される

1868 明治元年

明治維新と改革

1867年に江戸幕府が政権を失い、新政府が成立しました。明治維新によって近代国家の建設に向けた改革が進み始めました。

合併

住吉大社御文庫講と大阪天満宮御文庫講とが合併して大阪書林御文庫講となる。

1910 明治43年

鉄道でつながる時代

東京―大阪間の鉄道網が整備されて長距離移動が一般化しました。鉄道技術も国産化が進み、交通の近代化が生活を一層便利にしていきました。

献納

大阪天満宮に文車を献納、講員が乗船

1926 昭和元年

ラジオ放送と文芸

ラジオ放送の普及が始まり、出版では芥川龍之介や菊池寛らの作品が多く読まれました。活字と音声メディアの発展が文化を盛り上げました。

協賛

大阪天満宮境内の神武天皇聖蹟難波之碕顕彰碑建立に協賛。

1940 昭和15年

統制下の出版

政府の検閲が強化され、出版物は戦意高揚を目的としたものが中心となりましたが、教科書や実用書の発行は続き、教育や産業を支えました。

戦時下の
大阪書林御文庫講

戦時中、行事取りやめ

1941 1945 昭和16〜20年

太平洋戦争

太平洋戦争では対米英を中心とする連合国と戦い、敗戦を迎えました。国土は焦土と化し、戦後はGHQによる占領統治を受けました。

再開

天神祭船渡御再開

1949 昭和24年

戦後の希望

終戦直後の厳しい生活のなかで、美空ひばりや笠置シヅ子の歌声、黒澤明の映画、湯川秀樹のノーベル賞受賞が国民に希望と勇気を与えました。

再建

大阪書林御文庫会再建、神事のみ取り扱う

1951 昭和26年

国際社会への復帰

サンフランシスコ平和条約で日本は主権を回復し、1956年には国連に加盟しました。国際社会への復帰が果たされ、平和と繁栄への道が開かれました。

大阪天満宮曝書の
中断

1960 1997 昭和35年〜平成9年

高度経済成長

高度経済成長を迎え、東京五輪や東海道新幹線の開通を契機に技術革新とインフラ整備が進み、産業や生活が急速に発展しました。

文車 海を渡る

関西空港開港記念に開催されたブリスベンでの陸渡御、船渡御に参加

1994 平成6年

新時代の兆し

バブル崩壊後の経済的な混乱のなかでも、IT技術の進展やJ-POPの隆盛、サッカー人気の高まりなど、若者文化が活気を見せました。

大阪天満宮曝書の
再開

1998 平成10年

不安のなかの希望

金融危機や不況で社会不安が深まるなか、長野冬季五輪の成功やサッカーW杯の初出場など、国民に希望を与えるできごともありました。

目録の整理

この年より住吉大社御文庫の目録整理のため曝書を中断。

2001 平成13年

改革への期待

経済の低迷が続くなか、小泉内閣の登場で改革への期待が高まりました。USJや東京ディズニーシー開園など、社会に明るい話題も広がりました。

曝書の再開

住吉大社御文庫、10年ぶりに曝書を再開。

2010 平成22年

新しいつながりの
時代

iPadの登場や、スマートフォン・SNSの拡大など、日常生活や情報のやり取りだけでなく、人々のコミュニケーションや社会のつながりにも新しい変化が訪れました。

国登録文化財に登録

住吉大社御文庫、国登録文化財に登録。

2018 平成30年

新技術で生まれる
可能性

IoTやキャッシュレス決済の拡大、eスポーツの普及など、私たちのライフスタイルに新たな変化が生まれました。

2023 令和 5年

御文庫講創立300年
記念行事開催

令和5年(2023年)9月15日(金)、御文庫講創立300年を記念した講演会が、大阪市中央公会堂の大集会室で開かれました。この日は、講談師の旭堂南海さん、住吉大社権禰宜の小出英詞さん、大阪天満宮文化研究所長の高島幸次さん、落語家の桂文我さん、そして大阪書林御文庫講講元の藤波優さんが登壇。それぞれの立場から御文庫講の歩みや意義について語り合い、会場は大いに盛り上がりました。講演会のあとは、住吉大社の神武磐彦宮司、大阪天満宮の寺井種治宮司をお迎えして懇親会を開催。あたたかな交流のひとときとなりました。さらに、紀伊國屋書店梅田店様のご協力により、9月には同店にて御文庫講加盟出版社によるブックフェアも実施。また、10月には大阪府立中央図書館にて、御文庫講の主催による記念パネル展を開催。御文庫講の魅力に触れる絶好の機会となりました。