ごあいさつ
御文庫講は、お陰様で創立三百年の節目を迎えることができました。
三百年前―享保年間、いわゆる暴れん坊将軍・徳川吉宗の時代に端を発し、その歩みは、本の世界が和綴本から電子書籍へと変化していく歴史とともに続いてきました。先人の志と出版文化の積み重ねを思うとき、その道のりの大きさを改めて感じずにはいられません。
御文庫講は、大坂・江戸・京都の本屋仲間が協力し、住吉大社に蔵(文庫)を寄進したことを原点としています。そこには、「書物を守り、文化を未来へつなげる」という願いが込められていました。この精神が、時代を越えて受け継がれてきたからこそ、今日まで三百余年の歴史を刻むことができたものと考えております。
ここまで御文庫講を育てて頂いた住吉大社、大阪天満宮、大坂・江戸・京都の先輩版元の皆様、そして出版文化を支えて下さっている多くの方々に、心より感謝申し上げる次第です。
三百余年の歴史や伝統は、過去の遺産ではなく、未来へ進むための礎です。
御文庫講は、出版文化の継承と発展に、これからも取り組んでまいります。
今後とも変わらぬご支援、ご厚誼を賜りますようお願い申し上げます。
講員インタビュー
― 御文庫 受け継ぐという責任 ― 御文庫は、私にとって「過去から預かっているもの」です。 享保の時代から続くこの蔵に納められた書物は、単なる書物ではなく、当時の人々の知恵や願い、そして出版に携わった先人たちの矜持そのものだと感じています。私たちは出版社として新しい本を作り出す仕事をしていますが、同時に、先人が残した本を守り続ける立場でもあります。曝書の際に、御文庫の書物を手に取ると、その重みに自然と背筋が伸びます。御文庫講の活動は、過去に思いを馳せながら、出版文化を未来へ確実に渡していくための営みだと考えています。
― 御文庫 本が本であり続ける場所 ― 御文庫の書物に触れると、現代の出版現場とは異なる時間の流れを感じます。売上や部数、スピードが求められる現代とは対照的に、ここでは一冊一冊の書物が静かに息づいています。我々も新刊を御文庫に奉納する際には、「この本も、いずれ御文庫の歴史の一部になるのだ」と感慨深くなります。それは大きな誇りであると同時に、身の引き締まる思いでもあります。御文庫講は、本を"商品"としてではなく、"文化"として扱う場所です。 この場所があるからこそ、私たちは出版の原点を見失わずにいられるのだと思います。これからも御文庫をリレーのバトンのように大切に守り、未来につないでいきたいと思います。
― 御文庫 時間を越える感覚 ― 御文庫講に参加してまだ日は浅いですが、初めて御文庫を拝見したときの感覚は今も忘れられません。そこにあったのは、「古い本」ではなく、長い時間を生き抜いてきた何か特別な存在でした。曝書の作業で書物を広げた瞬間、何百年前にも誰かが同じようにこの本を手に取り、広げたのかと思うと、不思議な感覚になりました。御文庫講を守ることは、特別なことではなく、また格式ばったものでもなく、静かに文化を感じ、次世代につないでいく場ではないかと感じています。
― 天神祭 受け継がれてきた役目 ― 天神祭の陸渡御や船渡御で、菅原道真公の読まれる書物を文車に乗せてお伴することが我々御文庫講が長く担ってきた役目です。祭りの準備や本番に関わらせて頂くなかで、先人たちも同じようにこの行事に向き合ってきたのだと感じます。華やかな祭りの裏側には、静かに守られてきた歴史や文化、それを支えてきた先人の想いが積み重ねられています。その一端を担わせていただくことに、自然と身が引き締まる思いがします。これからも変わらず、この役目をしっかりと果たしていきたいと思っています。
御文庫講の年間行事
| 5月上旬 | 御文庫講の総会。 |
| 5月下旬 | 住吉大社御文庫へ御文庫講所属出版社の新刊書籍奉納、参拝。御文庫に所蔵されている書籍を御文庫の前に運び出し、書籍の各頁に風を通す。 |
| 7月24日 | 天神祭宵宮境内に当屋を構えて講員、関係者を迎え、宵宮祭を盛り上げる。 |
| 7月25日 | 天神祭本宮 陸渡御、船渡御。 |
| 10月下旬 | 天満宮御文庫へ御文庫講所属出版社の新刊書籍奉納、参拝。 御文庫所蔵の書籍を梅香学院に運び、曝書を行う。 |
概要
| 名称 | 大阪書林御文庫講 |
| 代表者 | 藤波 優 |
| 住所 | 〒541-0047 大阪市中央区淡路町4-3-6 株式会社創元社 内 |
| 講員数 | 23社 |
| 結成 |
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